「ル・コルビュジエ — 諸芸術の綜合 1930‑1965」展とは
展覧会の概要
「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965」は、パナソニック汐留美術館で開催された、日本初のコルビュジエ絵画・版画・彫刻など後期芸術活動に焦点を当てた大規模展覧会です。
この展示会は、建築を中心に据えながらも、絵画や彫刻、素描、タペストリーなど視覚芸術全般を含めたル・コルビュジエの芸術観「諸芸術の綜合(Synthesis of the Arts)」に焦点を当てたものです。彼が目指したのは、統一・調和・普遍的法則によって複数の芸術を一つの詩的環境へ統合することでした。
展示構成と注目ポイント:
この展示会は4つの章立てで構成され、展示数は絵画、彫刻、素描、タペストリー、図面、模型、ルシアン・エルヴェの写真作品などを含め約90点にのぼりました。
第1章:浜辺の建築家
1930年代、世界恐慌により機械万能主義から自然への回帰が始まり、コルビュジエは貝、骨、流木などをモチーフに「詩的反応を喚起するオブジェ」として芸術に取り入れました。展示会では同時代のレジェやアルプと共にコルビュジエの作品が展示されました。
第2章:諸芸術の綜合
彼の理念である"諸芸術の綜合"を示すコーナーでは、絵画・彫刻・建築・都市計画を連環させ、人間の五感に訴える「音響的建築」の構想がうかがえる作品群が展示されました。
第3章:近代のミッション
戦後のチャンディガール都市計画や万博展示館など、「建築のメディア性と未来性」が見えるプロジェクトの図面や模型、《牡牛》シリーズ(三連画《牡牛XVI》《牡牛XVIII》《牡牛》(未完))が展示され、生命力と精神の進化を象徴的に表現されました。
第4章:やがてすべては海へと至る
1954年に執筆された未来社会を予言する論考を拠点に、マルチメディア芸術の先駆となる構想やプロジェクトが展示され、彼の思想の先見性が浮き彫りになりました。
「総合芸術空間」としての展示会
本展は、単なる建築家の展覧会ではなく、詩と構造、技術と感性が響き合う「総合芸術空間」としてのル・コルビュジエの全貌を体験できるもので、コルビュジエの建築が持つ詩的な要素や、ロンシャンの礼拝堂のような彫刻的な建築へと至るまでの彼の思想の進化を、絵画や彫刻といった視覚芸術を通して理解できる貴重な機会となりました。
高度な画像処理と高品質な印刷で再現されるコルビジェの作品
株式会社マップスは、関連会社Echelle-1が発行する「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合1930-1965」展の公式カタログにおいて、制作印刷を対応いたしました。
デザインは、REFLECTA様、制作および掲載作品の画像加工から印刷・販売までをマップスで対応しました。
これまでEchelle-1の発行物であるル・コルビュジエをモチーフにしたさまざまなカタログや書籍を制作してきたノウハウを生かし、いかに作品のイメージを再現するか、を最重要テーマとして制作にあたりました。
今回のカタログは、本文に「b7ナチュラル」という少し黄色がかった用紙を使いましたため、真っ白い用紙で色合いを合わせた作品画像は、すべて黄色被りをしてしまいました。そこで黄色がかった用紙に印刷した際にも、白い用紙に印刷したイメージに近く作品画像を表現するため、すべての作品画像について高度な画像処理加工を行いました。作品1点1点について部分的な色調整など丁寧に画像処理を行い、美術館様にもご満足いただける再現性を実現できました。