コルビジェの絵画「マッチ箱と二人の女」と「静物」をモチーフにして制作
「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965」(パナソニック汐留美術館)において販売用として、コルビジェの2つの絵画「マッチ箱と二人の女」と「静物」をモチーフにクリアファイルを作成しました。
「マッチ箱と二人の女」とは
「マッチ箱と二人の女」は、コルビュジエがに手がけた、彼の芸術における転換点を示す重要な絵画作品です。
この作品は、1930年代のパリで、機械中心の考え方から自然科学への関心が高まった時代に誕生しました。ピュリスム(純粋主義)時代の厳格な幾何学的構成から、より有機的な形態へとコルビュジエの表現が変化したことを示しています。
1929年の世界恐慌後、人々の芸術への関心は抽象絵画からシュルレアリスム(超現実主義)へと移行していきました。そんな中、コルビジェは「詩的な反応を呼び起こすオブジェ」という新しいコンセプトを追求しました。この絵画では、身近な日用品であるマッチ箱と二人の女性像を組み合わせることで、機械的な要素と人間らしさの融合を表現しています。
「マッチ箱と二人の女」の真価は、建築家コルビュジエが「諸芸術の統合」という思想へと向かう過渡期の心境を、細やかに記録している点にあります。コルビジェにとって、絵画は建築のアイデアを試すための実験場でした。この絵画に見られる曲線的な造形は、後のロンシャン礼拝堂といった建築作品に影響を与えたル・コルビュジエの原点ともいえるものです。
現在、「森稔コレクション」に大切に保管されているこの作品は、20世紀の芸術史における創造的な変遷の貴重な証言として、国際的に高く評価され続けています。「マッチ箱と二人の女」は「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965」(パナソニック汐留美術館)において展覧会の公式ポスターにもなりました。
「静物」とは
ル・コルビュジエの「静物」は、に描き始められ、実に30年という長い歳月をかけて完成された、まさに時間の重層性を体現した稀有な作品です。
絵画の右下に記された「23-44-49-52-53」という年記がコルビジェが長年にわたり手を加え続けたことを示しており、この絵画には幾層にも塗り重ねられた色彩も確認でき、コルビジェが時間をかけて構築した造形の深みが感じられます。
この絵画は、コルビジェの芸術思想の変遷を凝縮し、建築と絵画が一体となった「諸芸術の綜合」という彼のビジョンを具現化しています。
「静物」は、日常的なモチーフ—果物、器、道具など—をテーマにしながらも、単なる写実ではなく、幾何学的なフォルムと大胆な色彩によって抽象性と構築性を融合させています。ピュリスム(純粋主義)の理念を土台にしつつ、1950年代という時代背景に呼応した造形感覚が加わり、視覚的に非常に洗練された印象を与えます。
今日、「静物」はコルビジェの絵画作品の中でも特に評価が高く、20世紀美術における静物画の再定義とも言える位置づけを獲得しています。建築と美術、構造と感性の間に揺れ動く表現のバランスは、コルビジェという希有な芸術家の本質を映し出す鏡とも言えるでしょう。
ル・コルビュジエはさまざまな静物画を作成しましたが、中でもこの絵はとてもカラフルで建築物のように整然とならんだ静物がカラフルに描かれています。
クリアファイルでは、下に白地を引くことで原画のカラフルな色彩を忠実に再現しました。