世界遺産に選定された17作品の設計図面や人気絵画をモチーフにして制作
「ル・コルビュジエ―諸芸術の綜合 1930-1965」(パナソニック汐留美術館)において販売用として2種類のポスターを作成しました。
「ル・コルビュジエPLANS」は、ル・コルビュジエの設計した建築物の中での設計図面を設計物の大きさに準じたサイズで年代ごとに配置したポスターです。関連会社のEchelle-1が企画し作成されたポスターを展示会の販売用として再デザインしました。
「牡牛XVIII」は、ル・コルビュジエが晩年に好んで描いた「牡牛シリーズ」の一つでの作品。
「モニュメンタルかつ孤高な表現によって、ル・コルビュジエの後期を特徴づける内省的で個人的な詩的世界が表されている。」
(『ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合1930-1965』公式カタログP.177より)
原図のイメージや、原画の色彩を損なうことなく、高度な画像処理技術を使いヴァンヌーボに高精細な印刷で表現しました。
世界遺産に選定された17作品の設計図面「ル・コルビュジエPLANS」とは?
「ル・コルビュジエPLANS」は、ル・コルビュジエの設計した建築物の中で世界遺産に選定された17作品の設計図面を設計物の大きさに準じたサイズで年代ごとに配置したポスターです。
関連会社のEchelle-1が企画し作成されたポスターを展示会の販売用として再デザインしました
世界遺産登録作品1:サヴォア邸と庭師小屋(フランス)
サヴォア邸は、コルビュジエが提唱した「近代建築の5原則」を最も純粋に具現化した住宅です。ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由な立面という構成が、機能性と美しさを両立させています。1931年に完成したこの邸宅は、建築史におけるモダニズムの象徴であり、コルビジェの思想が住宅建築に革命をもたらしたことを示す重要な作品です。庭師小屋も含め、合理性と詩的空間の融合が評価され、世界遺産に登録されました。
世界遺産登録作品2:国立西洋美術館(日本)
東京・上野にある国立西洋美術館は、コルビュジエが日本に残した唯一の建築作品です。1959年竣工のこの美術館は、「無限成長美術館」という概念に基づき、展示物の増加に応じて拡張可能な構造を持っています。モデュロールによる寸法設計、螺旋状の回廊、ピロティなど、コルビジェ建築の特徴が凝縮されており、日本初の世界文化遺産として高く評価されています。建築自体が芸術作品であり、コルビジェの思想が空間に宿る稀有な例です。
世界遺産登録作品3:ロンシャンの礼拝堂(フランス)
ロンシャンの礼拝堂は、コルビュジエの有機的造形への転換を象徴する宗教建築です。1955年に完成したこの礼拝堂は、曲線的な屋根、厚みのある壁、自然光の取り入れ方など、従来の建築様式とは一線を画しています。コルビジェはこの建物で、機能性よりも精神性と感性を重視した空間を創出し、建築が人間の内面に訴えかける力を持つことを証明しました。その革新性と芸術性が認められ、世界遺産に登録されています。
世界遺産登録作品4:サン=ディエ工場(フランス)
サン=ディエ工場は、戦後フランスの産業復興を象徴するコルビジェの重要な計画案です。軽量鉄骨を用いた合理的な構造、作業導線を徹底的に最適化した平面計画が特徴で、機能性を追求した近代産業建築の理想型とされます。コルビュジエはここで、働く人々の環境改善を重視し、自然光の取り込みや動線整理を徹底しました。実現した部分は限られていますが、その思想的価値の高さが評価され、世界遺産に含まれています。
世界遺産登録作品5:ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(フランス)
パリ郊外に建つラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸は、コルビジェ初期の住宅建築の集大成です。ギャラリーとしての用途も組み込まれ、光の扱い方や空間の流れが美術鑑賞のために緻密に計算されています。コルビジェ特有の白い外壁とリボン窓が象徴的で、後のサヴォア邸へつながる設計思想が随所に見られます。構造の合理性と、心地よい回遊性のある空間が高く評価されました。
世界遺産登録作品6:ラ・トゥーレット修道院(フランス)
ラ・トゥーレット修道院は、コルビュジエ後期の思想的ピークを示す建築です。厳格なコンクリート造と、静寂を生む光の演出により、宗教的瞑想空間としての深い精神性を実現しました。モデュロールを基にした寸法計画により、人間の身体感覚に寄り添う空間を形成している点も特徴です。コルビジェの「建築は生活と精神を高める」という理念が純度高く表現された作品として知られています。
世界遺産登録作品7:ユニテ・ダビタシオン(フランス・マルセイユ)
マルセイユのユニテ・ダビタシオン(集合住宅)は、コルビュジエが提案した「垂直の都市」を具現化した革新的な建築です。商業施設、住居、公共空間が一体化した構造は、現在の複合施設の原型ともいえます。ピロティや屋上庭園など「近代建築の5原則」が集約され、さらに鉄筋コンクリートの大胆な表現が独自の美学を生んでいます。世界的に集合住宅の理想形として影響を与え続けている名作です。
世界遺産登録作品8:ユニテ・ダビタシオン(ドイツ・ベルリン)
ベルリンに建つユニテ・ダビタシオンは、マルセイユ版を基にしつつ、ドイツの気候と文化に合わせて改良されたモデルです。コルビジェは、住戸の通風・採光に最適な配置を再設計し、より快適な生活環境を追求しました。鮮やかな色彩計画は街並みに活力を与え、周辺環境との調和も高く評価されています。近代都市住宅の普遍性と適応力を示す代表作です。
世界遺産登録作品9:ユニテ・ダビタシオン(フランス・ナント=レゼ)
ナント=レゼのユニテ・ダビタシオンは、コルビジェが掲げた「合理的生活の器」をさらに洗練した集合住宅です。住戸内部のメゾネット構造、色彩のリズム、コミュニティ形成のための共用部分の配置など、徹底した居住性の追求が特徴です。経年によってもその機能性が失われず、現代の住宅計画に与える影響力も大きいため、世界遺産に選ばれています。
世界遺産登録作品10:ユニテ・ダビタシオン(フランス・フィルミニ)
フィルミニのユニテ・ダビタシオンは、コルビジェ晩年の実験的精神が強く反映されています。地形に応じた建設、地域との一体化、文化施設との連携を重視するなど、都市全体のデザイン思想と合わせて理解されるべき建物です。特に、色彩と光の扱い方は独特で、住民の生活にリズムと表情を与えるように計画されています。
世界遺産登録作品11:レマン湖畔の小さな家(スイス)
「小さな家(カバノン)」は、コルビジェが妻のために設計した極めてコンパクトな住宅です。6畳ほどの空間に、生活機能を完璧に収めた設計は、ミニマリズム建築の原点とされます。モデュロールを用いた寸法の完璧な調和、必要最低限の美しさなど、コルビュジエの思想が凝縮された存在です。小さな建物でありながら、世界遺産としての価値がきわめて高い作品です。
世界遺産登録作品12:インド・チャンディーガルの集合建築群(インド)
チャンディーガルは、コルビジェが都市計画レベルで関わった国家的プロジェクトです。議事堂、裁判所、行政庁舎などの建築群は、機能性と象徴性を兼ね備えたモダニズム都市の実例として高く評価されています。大胆なコンクリート造形、日射調整のためのブリーズ・ソレイユ、公共性を高める開放的な空間など、コルビジェの総合的な都市思想が結実した地です。
世界遺産登録作品13:サン=ピエール教会(フランス・フィルミニ)
サン=ピエール教会は、コルビュジエが遺した最後の宗教建築で、没後に完成しました。円錐台を思わせる独特のフォルム、天井から差し込むドラマチックな光、内部の静謐な空間など、精神性に満ちた設計が特徴です。コルビジェの晩年思想と造形への探求が象徴的に現れた建物として、世界的にも高く評価されています。
世界遺産登録作品14:スイス学生会館(スイス・ローザンヌ)
ローザンヌの学生会館は、若い学生のための居住空間にコルビジェの合理的なデザインを落とし込んだ建築です。小さな個室の寸法はモデュロールに基づき、最小限の空間で最大限の快適性を確保しています。外観のリズム感ある立面、光を柔らかく扱う設計など、教育施設としての機能性と美しさを両立させました。
世界遺産登録作品15:グラン・メール邸(ベルギー)
グラン・メール邸は、コルビジェがベルギーに残した代表的な住宅作品です。白い外壁、直線と曲線を巧みに組み合わせた外観、広がる水平窓など、コルビジェ初期の作風が色濃く表れています。自然環境との調和を意識した配置や、室内への光の取り込みが美しく、後の住宅設計にも影響を与えた重要な建築です。
世界遺産登録作品16:ジャウル邸(フランス)
ジャウル邸は、コルビュジエ独自の「日干しレンガブロック」とコンクリートを融合した、温かみのある住宅です。自然素材と近代建築技術を組み合わせることで、環境に寄り添った住宅デザインを確立しています。外観の素朴さとは対照的に、内部はモデュロールによる寸法計画で整えられ、機能性と居心地の良さが高いレベルで両立しています。
世界遺産登録作品17:カップ・マルタンのキャンプ場小屋(フランス)
カップ・マルタンのキャンプ場にある小屋は、コルビジェが自ら使用した極小住居で、徹底したミニマリズムの象徴です。木材を使ったシンプルな構造ながら、空間効率の高さや生活導線の美しさは、コルビュジエの熟練の技術によるものです。自然との近接を重視し、海を望む環境での生活を最大限に楽しむための設計が施されています。
「牡牛XVIII」とは?
コルビュジエの「牡牛XVIII」(1959年)は、コルビジェが手がけた「牡牛」をテーマにした一連の油彩作品約20点の第18作目にあたる作品です。この「牡牛XVIII」は、近代建築の巨匠として知られるコルビュジエが、画家としての創造性を最高度に発揮した記念碑的な絵画として高く評価されています。
写実的に描いた牡牛をどんどんデフォルメしていった結果、最終的に大きな角と大きな鼻孔だけで牡牛を表現しようとしたこの作品は、コルビジェの抽象化の極致を示しています。彼は形態の本質を追求し続け、牡牛という生命体の最も重要な要素のみを抽出することで、生命力そのものを視覚化することに成功しました。
第二次世界大戦後には、牡牛、翼のある一角獣、開かれた手、イコンなど象徴的なモチーフを繰り返し描くようになったコルビュジエにとって、牡牛は特別な意味を持つモチーフでした。
建築界の革命児コルビジェが追求した生命の本質と創造の源泉を、わずかな線と色彩で表現した本作品は、20世紀芸術史における不朽の名作として、その普遍的価値を今なお放ち続けています。